小倉薬剤師会
健康メモ
かぜのメカニズムと治療法

かぜのメカニズム

かぜは鼻やのどなどの炎症によっておこります。その原因の約8−9割はウイルスによるものです。私達は、呼吸をする時ウイルスや細菌などの異物も一緒に吸い込んでいます。しかし、かぜウイルスを吸い込んだからといって、かぜをひくわけではありません。人の体にはウイルスや細菌などの侵入を防ぐ幾重もの生体防御機構が備わっているからです。

  1. 反射的防御機構
    鼻の入口には鼻毛があります。異物に対してフィルタ−の役目をしているのですが、超ミクロのウイルスまではキャッチできません。鼻腔や気道に侵入したウイルスに対しては、くしゃみや咳で外に出そうとします。
  2. 非特異的防御機構
    1を突破したウイルスや細菌に対し、その種類を選ばず排除破壊しようとします。鼻やのどの粘膜に付着したウイルスや細菌を、粘液と一緒に無数の腺毛の動きで排泄します。また、ウイルスや細菌を飲み込んで消化しようとします。
  3. 免疫系
    2を突破したウイルスや細菌に対して、タ−ゲットを決めてより強力で特異的に闘います。感染細胞を破壊したり、抗体を作ったりします。 こういう防御機構を突破されるとかぜをひくことになります。

くしゃみ

鼻粘膜にウイルスが感染すると、ウイルスを排除しようという防御反応が働いて、脳のくしゃみ中枢から「くしゃみをしろ」という指令がのどや胸の筋肉に出されます。「ハ−クション」というくしゃみをおこします。

鼻水

ウイルスを排除しようとする刺激が脳の分泌・血管運動中枢に伝わると、「粘液を分泌しろ」という指令が鼻腺や杯細胞に出されます。また、血管壁の細胞と細胞の間隔が広がって、血管内の成分がしみだしてきて、3個所からの分泌物が一緒になって鼻水になります。

鼻づまり

しみだしてきた成分が組織にたまり始め、鼻の中は腫れ上がって、鼻腔が狭くなり、空気の通りも悪くなって鼻づまりになります

のどの痛み

ウイルスが感染・増殖し腺毛細胞が破壊されると、のどの粘膜に炎症がおきたり、腺毛が抜け落ちてしまい、刺激を受けやすい知覚過敏の状態になり、のどにイガイガ感や異物感を伴います。さらに症状がすすむとのどに痛みを感じるとともに、血管が赤く腫れてきます。

のどの炎症で過敏になった神経が刺激されて、咳中枢に伝わり、咳をします。長引くと体力を消耗し、呼吸器にも負担がかかります。1回の咳で、約2キロカロリ−消耗し、50回咳をしたとすると、ジョギングを12分したのと同じエネルギ−を消耗します。

炎症をおこしたのどの組織では、分泌腺や杯細胞から粘液の分泌が盛んになります。ウイルス感染で壊れた細胞やウイルスと戦った白血球の残骸などが、この粘液と混ざり合って、粘り気の強い痰ができます。これは抜け落ちてまばらで動きの鈍くなった腺毛では運び出せず、のどにからみ、異物感の原因になります。また、痰に含まれる細胞の残骸などは、肺炎などの2次感染を引き起こす細胞の栄養源になります。

エアコンが常に室内の温度を一定に保つ様に、人の体にも体温のセットポイントが設定されています。ウイルスが感染すると、炎症をおこした組織に発熱物質がつくられ、セットポイントが高く設定される様になります。高く設定されると、体は血管を収縮させて、鳥肌を立て、熱が体外に逃げない様にします。また、筋肉を動かして震えをおこし、熱をつくり出します。これが発熱になります。成人の場合、体温が1℃上昇すると、215キロカロリ−(1日)のエネルギ−を消耗します。ちょうどジョギング約30分間の消費カロリ−と同じ位です。発熱は体力を消耗します。

冬にかぜをひきやすいのは

生体防御機構が正常に働けば、かぜウイルスに感染する事はありません。しかし、乾燥した空気や寒さにさらされると、のどや鼻の粘液の分泌が減少し、粘膜の加湿・加温がうまく機能せず、乾燥・低温の状態になります。その結果、腺毛の動きを鈍くし、ウイルス増殖に格好の環境を与える事になります。疲労や睡眠不足が続いた時も同じ様な事がおこります。

ウイルスの感染した場所によってかぜの症状が違ってきます。鼻に感染し炎症がおこれば、くしゃみ、鼻水、鼻づまり。のどに感染すれば、のどの痛みや咳、痰といった症状があらわれます。


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